育児書お試し

育児書4冊比べてみました

 皆さんは「育児書」持っていますか?

 初めてのお子さんが生まれたときなどに購入して、今も読んでいるという方が多いかな。それとも、育児情報はネットで手に入るからという理由で、育児書は買っていない方のほうが多いでしょうか。

 これから育児書を買おうかと思っている方のために、また、誰かにおすすめの育児書を聞かれたときに参考にしていただくために、小児科医の目線で育児書を比べてみました。

 比べたのはこの4冊です(順番はあいうえお順で、特に意味はありません)

①いちばんハッピーな育児BOOK(成美堂出版)

②最新!育児新百科(ベネッセコーポレーション)

③はじめてママ&パパの育児(主婦の友社)

④最新版らくらくあんしん育児(学研)

 結論を先に言うと、どの育児書も読みやすく、内容にも問題や偏りがなくて、育児の不安のあるお母さん、お父さんには力になってくれる一冊だと思いました。本の構成はほぼ同じで、①各月齢の赤ちゃんの様子、生活、気がかりなこと(Q&A)②母乳やミルク、離乳食・幼児食 ③予防接種 ④事故やケガの防止 ⑤赤ちゃんの病気とホームケアといった、育児にどうしたって必要なことがほとんどパックされています。イラストや赤ちゃんの写真も豊富で、ページをめくるだけでも楽しめます。

 これらの育児書は、育児全体のいろいろな項目をまんべんなくカバーしていて、まるで教科書のような使い方ができます。

 今の世の中、ネットを使えば知りたい情報が簡単に手に入るように思えます。しかし、その情報の信頼度はどうでしょうか。あるいは、本当に自分の知りたいことに答えてくれているでしょうか。そう考えると、危なっかしい面やかえって不便なところもないとはいえません。こういった育児書を作られる過程では数多くのチェックがかけられ、問題のある情報や不確かなことは編集の段階で除外されています。個人の体験や意見・思いを綴ったブログやツイッターと違って、偏ったところもありません。

 今回4冊の育児書を読んでみて、今の日本にはこんな素晴らしい育児の教科書があるんだということをとてもうれしく思った私でした。

各育児書について

 ①いちばんハッピーな育児BOOK(辻祐一郎 池上総合病院小児科部長 監修)

 表紙からキティーちゃんなどサンリオのキャラクターいっぱいで、とにかくかわいい育児書です。説明文はやや少なめで、そういった意味でもビジュアル重視の印象があります。とはいえ、要点はきちんと書かれていて、ていねいに作られている印象です。一点だけ、索引がないのが残念でした。

 ②最新!育児新百科(ひよこクラブ特別編集)

 ベネッセの「ひよこクラブ」と連携して作られている育児書です。内容も充実して、情報量がとても多いです。小児科医として関心のある「赤ちゃんの症状別ホームケアのポイント&受診の目安」のページも非常にくわしく書かれています。私たち小児科医がよく処方するお薬の名前まで載っているのはこの本だけです。また、これだけが「横書き」で書かれた本です。ネットの記事やSNSなど、横書きの文章になれた方なら、読みやすく感じるかもしれません。INDEXも充実しています。

 ③はじめてママ&パパの育児(五十嵐隆 国立成育医療研究センター理事長 監修)

 監修の五十嵐先生は現代の日本の小児科医の中でもトップクラスの有名な先生です。「はじめに」という文章には、先生の本書に対する思いがあふれています。構成も読みやすく、申し分ありません。各月齢の「みんなの*か月 泣いた!笑った!がんばったSTORY」もなかなか読みどころです。赤ちゃんの病気についての情報も多く、「さくいん」も使いやすいと思います。

 ④らくらくあんしん育児(土屋恵司 日本赤十字社医療センター小児科・新生児科部長 監修) 土屋先生の書かれた「はじめに」の中にあるように「育児をたのしんでください」というメッセージが伝わる一冊です。特筆すべきは、各月齢ごとに「この時期のパパががんばりたいこと」の項目があることで、他の育児書にはありません。元パパの私としては、少し耳の痛い部分でもあります。索引はがんばって作られているのですが、やや煩雑な印象をうけました。

 育児書を、小説のように最初から最終ページまで一気に読破する方はおられませんよね。知りたい月齢・年齢のページへすぐ行けたり、欲しい情報が簡単に得られたりということが大事だと思っています。そう、ある意味では辞書のような使い方もできるほうがいいですね。

 あとは、イラストや写真の使い方が自分のフィーリングに合うかどうかも重要なポイント。

 育児書を何冊も買うことはないと思うので、ぜひ何種類か見比べて、ベストな一冊をゲットして下さい。